医療系の職種は幅広いですが、「エスコートナース」というのをご存じでしょうか。
「輸送看護師」とも呼ばれるこの職種は、一般的な看護師とは少々異なり、おもな職場は病院ではなく交通機関のなかが多いです。この仕事は、単純に説明すれば「海外で体調を崩した人を安全に目的地まで送り届ける仕事」です。
たとえば、海外で生活している、または旅行中の日本人が病気やケガにより単独では帰国しにくい状態になった場合、エスコートナースの出番となります。患者の体調に配慮しつつ、航空機や船で無事に帰国できるよう付き添うのが主な仕事となります。医療関係者を呼ぶほどなので、患者の体調は重症化していることもあり、移動中の体調悪化に注意しながらの旅となります。状況によっては、救急医療の現場のような対応が必要となります。日本に滞在中の外国人患者に付き添って、海外へ同行することもありますし、患者が日本人だとしても搬送先が日本ではない場合もあるようです。
こうした状況下での仕事のため、看護師としての卓越した技術と経験はもちろん、現地医療スタッフとの交流に外国語(おもに英語)の能力も求められるようです。エスコートナースは、仕事が始まる前に患者がいる場所への長距離移動がある場合が多く、看護中は常に体調の変化に気を配らなければいけません。そのため、一定の体力も求められます。
特に注意したいのは外国語能力で、医療の専門用語が理解できなくてはいけません。看護師の基本として患者への思いやりも必要で、幅広く高いスキルが求められる職種といえることでしょう。